
近年、eラーニングは企業の社員教育に有効な手法として注目を集めています。
その背景には、従来の集合教育やOJTでは効果が得られにくくなっているという企業の内部要因が挙げられます。
また、新型コロナウイルスの影響で働く環境が変化したり、DX化が推進されたりしていることも原因の一つです。
本記事では、eラーニングの市場規模と今後の動向について解説します。
併せて、企業がeラーニングを取り入れることで得られるメリットや、代表的な活用シーンもご紹介します。
従業員の教育にeラーニングの活用を検討されている教育担当の方は、ぜひ参考にしてください。
eラーニングの市場規模
矢野経済研究所が2024年に行った調査によると、2022年度は前年度比約4.8%増の3,735億円で、BtoB・BtoC市場いずれも市場が拡大しました。
しかし、2023年は前年度比0.9%減の3,690億円と、若干減っています。
コロナ禍によるeラーニンング特需は落ち着いたものの、企業のDX化やリスキリング(職業能力の向上や転職に向けた学び直し)に向けた需要の高まりによって推移が堅調になったといえます。
(株式会社矢野経済研究所:eラーニング市場に関する調査を実施(2024年))
eラーニングの今後の動向
堅調な動きを見せるeラーニング業界の今後の動向について、導入する企業のジャンル(BtoB・BtoC)に分けて解説します。
BtoBは伸び悩み傾向
BtoB企業の市場は、コロナ禍による対面教育が制限されたことで、eラーニングの導入数が増加しました。
また、活用できる学習ツールの多様化も、eラーニングが多くの業種・企業に浸透し増加の要因となっています。
しかし、コロナ禍の状況回復や時代の流れによって、以下のような懸念事項も考えられます。
- 顧客の裾野拡大による小規模導入の増加の影響で顧客単価が下落
- 市場規模拡大による競合の激化
- 対面教育の再開によるeラーニングの利用機会が縮小
市場の拡大は続く一方で、その伸びは鈍化する傾向になると予測できます。
BtoCは堅調に売上を伸ばす
BtoC市場は、新型コロナウイルスの沈静化によって需要の落ち着きが見られますが、推移は安定傾向にあります。
その理由として、以下のようなことが挙げられます。
- 学習ツールとしてeラーニングの一般化が進んでいる
- 学習塾を中心に講師や指導者の人的リソースをeラーニングでカバーする需要は続く
- リモートワークによってできた余暇時間を学習にあてる社会人の増加
- 学校でタブレットやPCなどの端末を活用した授業が行われるようになった
- 紙が一般的だった通信講座などでもeラーニングを組み込んだ学習が増加
上記のような理由から、今後も少しずつ拡大することが予測できます。
社員教育としてeラーニングを取り入れるメリット
堅調な推移を保つeラーニングは、今後も導入する企業が増えることが予測されます。
eラーニングを取り入れることで企業が得られるメリットをご紹介します。
変化の早さに対応した社員教育が可能
消費者の価値観が多様化した近年、企業は新しい製品やサービスの提供が求められています。
しかし、従業員が新しい変化に対応する知識を身に付けるためには、集合研修の開催などコストと時間が必要です。
eラーニングを活用すれば、従業員は通常業務を止めることなく、隙間時間で研修を受けることが可能になります。
多様化する働き方に合わせた学習方法
リモートワークの増加やワークライフバランスを求めるなど、働き方が多様化しています。
従来のような固定化された社員教育ではなく、場所や時間を問わず、従業員のタイミングに合わせて実施できる教育スタイルが実現できます。
国際化への迅速な対応を取り入れるため
グローバル化が進み、海外進出を目指す企業は増加しています。また、海外から従業員を受け入れる企業も増えています。
そのため、国籍・人種・文化・言語が混在する社内環境の場合、集合研修が最適な選択肢ではなくなってきています。
多様な従業員に対してきめ細やかな教育を実施する手法として、eラーニングはとても効果的です。
コスト削減に貢献される
集合研修を実施する場合、会場費・交通費・宿泊費など、膨大な時間とコストが必要です。
また、集合研修だとその場限りの研修になりやすく、復習がしづらくなるケースは少なくありません。
しかし、eラーニングによる研修を導入すれば、インターネット環境さえあれば場所を選ばず研修を受けることができます。
また、管理者が動画を削除しない限り繰り返し視聴することができるため、理解も深まります。
このように、eラーニングによる研修はコストを削減し、受講者の理解度向上につなげることができます。
社員教育でeラーニングを活用するシーン
企業が社員教育の一環としてeラーニングを活用するシーンをご紹介します。
社員教育の方法に悩みを抱える教育担当の方は、参考にしてください。
内定者教育で活用
内定者の教育を目的にeラーニングを導入する企業が増加しています。
入社前に内定者教育を行うことは、企業にとって多くのメリットがあります。
入社段階である程度の知識を積んだ新入を迎え入れることができ、早期の戦力化を見込むことができるためです。
しかし、内定者によっては入社に合わせて引越しをしたり、学校やアルバイトなどで研修日程が合わないケースが多いです。
受講者のタイミングで視聴できるeラーニングは、内定者教育に最適な方法です。
新人研修で活用
入社後に行われる新人研修は、毎年同じような内容の研修を実施することも多いです。
重複する内容についてeラーニングのコースを作っておくことで、研修を実施するコストや講師となる従業員の時間を削減することができます。
その他に、受講者の学習・成果進捗を測ることも可能です。
学習状況や確認テストのデータをもとに、配属先を決定する判断材料にすることができます。
遠隔教育に活用
複数の事業所をもつ企業が全社共通の研修を行う際に、eラーニングを活用する機会が増えています。
このような企業が研修を行う場合、集合研修をするとき会場費や交通費などのコストが発生します。
しかしeラーニングを導入すれば、会場費などのコストをかけずに全社員共通の研修を実施することができます。
社内の情報伝達ツールとして活用
社内で資料やアンケートの共有といったコミュニケーションをとるためにeラーニングを導入する企業もあります。
eラーニングに備わっているシステムを使用し、社員向けにテストやアンケートを一斉送信・回収するためのツールとして活用されています。
さいごに
eラーニングの市場規模や動向は安定しており、今後も続くことが予想されます。
また、人材不足などの影響で教育担当者が不足し、eラーニングによる研修を検討する企業も増えるでしょう。
eラーニングを利用して効率的な人材育成を考えている教育担当の方は、豊富な導入実績のある株式会社ITBeeへお気軽にご相談ください。