研修動画の台本作りガイド:素人でも出来る台本制作のポイント3つ

社内研修を動画化する方法には、スライドにナレーションを加える形式、実際の研修風景を撮影する実写形式、アニメーションで内容を伝える形式など、いくつかのパターンがあります。

ただ、どの形式を選ぶ場合でも、いきなり動画制作を始めるのではなく、「台本」の準備が重要となります。台本の段階でしっかりと懸念点を潰しておけば、研修動画のクオリティは高まります。逆に言えば、台本の出来こそが、研修動画の完成度を大きく左右すると言ってもいいでしょう。

実は多くの教育担当者が、台本の重要性は理解しているのに、“台本を作る段階”でつまずいています。

  • スライドは作れるけれど、動画用の台本となるとやり方がわからない
  • いざ作ってみると、想像以上に大変だった
  • どこまで書けば十分なのか?何を台本の中で決めばいいのか?が分からない

こうした声は、決して珍しくありません。

これまでの記事では、研修動画は「動画の種類」と「仕上がりレベル」によって、やるべきことも完成時のクオリティも大きく変わることをお伝えしてきました。

前回は制作工程の中でも「企画」にフォーカスし、動画の種類 × 仕上がりレベルで、設計内容がどれほど変わるのかを整理していますので、気になる方はこちらもご覧ください。

今回は、次の工程である台本制作について見ていきます。

そもそも台本づくりは専門性の高い作業であり、研修動画の「わかりやすさ」や「学習効果」を大きく左右する工程です。

今回は、そんな“台本づくり”に焦点を当て、

  • まず押さえておきたい要点
  • よくある落とし穴
  • 動画の種類 × 仕上がりレベルで変わる作業の違い

をわかりやすく整理していきます。


目次

“最低限ここだけ”押さえたい台本づくりのポイント

もしも台本作りの内製を検討するなら、最低限この3つは押さえましょう。

ポイント1:情報に“優先順位”をつける

研修動画は「盛り込める情報量」が限られています。動画は視聴時間が決まっており、また一度に処理できる情報量も制限されるためです。

まずは、研修内容をすべて棚卸ししたうえで、

  • 絶対に伝えるべき情報
  • 動画ではなく資料に任せてよい情報
  • そもそも削ってよい情報

を明確に分ける必要があります。

ポイント2:受講者視点で“理解しやすい順番”に並べ替える

動画は「受講者がその場で理解するスピード」に合わせて情報を配置する必要があります。

たとえば、

  • 理由 → 結論より、結論 → 理由のほうがわかりやすい
  • 手順を説明する内容の動画は“全体像”を示してから“詳細”に入る
  • 例外や注意点は、受講者の理解の流れを止めないように、基本の流れを伝えたあとに補足として入れる

といった“動画ならではの情報設計”が必要になります。

ポイント3:台本は“映像と音声のセット”で考える

研修動画では、映像と音声は常にセットで設計されますが、それぞれの役割はまったく異なります。映像は「理解の手がかり」をつくり、音声は「意味を補足し、思考を導く」もの。

この役割分担を意識せずに作ると、

  • 映像を見ている意味がない
  • 音声が冗長に感じる

といった動画になりがちです。

たとえば、スライドに文章がびっしり書かれていて、その内容をナレーションがそのまま読み上げている動画をイメージしてください。 画面は変わらないのに音声だけが長く続き、視聴者は「読むのか、聞くのか、どちらに集中すればいいのか」分からなくなります。

この場合、本来は

  • スライドでは「要点」や「構造」を見せる
  • ナレーションでは「背景」や「理由」「補足説明」を伝える

 といった役割分担が必要です。

台本づくりでよくある失敗

ポイントを理解していても、実務ではさまざまな失敗が起こります。ここでは、特に多い2つを紹介します。

失敗1:情報量が多すぎて“紙芝居動画”になる

最も多いのがこのパターンです。

伝えたいことが多く、台本に全部詰め込んでしまう結果、

  • 画面はずっと同じスライド
  • ナレーションだけが延々と続く

という紙芝居のような動画になります。

スライド+ナレーション型の動画で発生しやすく、視聴者にとっては非常に負荷が高く、理解度も下がります。

失敗2:書き言葉で台本を書いてしまい、聞きにくい

「耳で聞く言葉」と「目で読む文章」はまったく別物です。

書き言葉のまま読むと、

  • 文が長くて聞き取りにくい
  • 主語が抜けて意味がわかりにくい
  • 感情やテンポが不自然

など、視聴者の理解を大きく妨げます。特にロールプレイング形式の動画では、“不自然な会話”が発生しやすくなります。

実際の会話として成立しないセリフは、聞く側も理解に集中できなくなります。

動画の種類 × 仕上がりレベルで変わる「台本でやること」

ここまで見てきたように、台本づくりは「ちょっと文章を書けばいい」という作業ではありません。では実際に、動画の種類や求める仕上がりレベルが変わると、台本づくりの作業内容はどこまで変わるのでしょうか。

ここでは、動画の種類をスライド型、実写型、アニメ/モーショングラフィックス型、ハイブリッド型の4つに分類し、仕上がりレベルをライト、スタンダード、プレミアムの3つに定義し、具体的に解説します。

※動画の尺は5〜10分を想定しています。

動画タイプ仕上がりレベル台本制作でやること・注意点仕上がりイメージ
スライド+ナレーション型ライト既存の研修スライドを一通り確認する
スライドの内容を「話し言葉」に最低限整える
要点だけナレーション原稿化

<注意点>
スライドの文章をそのまま読み上げない
1スライドあたりの説明が長くなりすぎないよう注意する
既存スライドを読みやすく解説するライト動画
スタンダードスライドの再構成(並び替え・追加)
章立てを再設計し、話の流れを整理する
ナレーション原稿を文章として書き込み
トーンや言い回しを調整

<注意点>
ナレーションが説明過多にならないよう、映像とのバランスに注意
伝わる構成に整理された、標準品質のスライド動画
プレミアム全スライドの再設計を前提に台本作成
精密なナレーション原稿(秒単位の尺設計)
強弱、間、視線誘導も台本に記述
完成度の高い“作品”としてのスライド動画
実写型ライト撮影項目を箇条書きで整理
講師や出演者に伝える話題・要点を簡単にメモする
大まかな流れだけ整理


<注意点>
「アドリブに任せすぎる」と内容にムラが出やすい
撮り直しの場合も多く、工数が増える
講師説明をそのまま撮影するような最小限の撮影で構成するシンプルな実写動画
スタンダードシーンごとに構成を整理し、各シーンの目的と話す内容を整理する(簡易的なカット割りを含む)
講師セリフは要点を文章化
尺設計を簡易に追加
カメラ指示は最低限
見やすさを意識した実写教材
プレミアム話す内容だけでなく、誰が・どこに立ち・どんな動きをしながら話すかまで指示する台本を作成する
表情、間、声のトーンなど演技面の指示も盛り込む

<注意点>
小道具・出演者の動きまで含めて、撮影を見越した台本設計が必要
映像作品レベルの研修動画
アニメーション/モーショングラフィックスライトナレーション原稿を簡易的に作成する
使用する図やイラストの内容を簡単に指定

<注意点>
動きの指示が曖昧だと、完成イメージがズレやすい
ナレーションに頼りすぎると、アニメの良さが活かせない
シンプルな説明アニメ
スタンダードナレーション原稿をきちんと作成
どのタイミングで何が表示されるかなど、画面の展開を整理する
動きの概要を台本に書き込み、シーン分割を明確にする
音声と映像の切り替わりを意識して構成を設計する
標準品質のアニメーション動画
プレミアムシーンごとに秒数を決め、映像の流れを細かく設計する
図・キャラクター・テキストそれぞれの役割を明確にする
完成時のテンポや印象まで想定した台本を作成する
高品質のモーショングラフィックス作品
ハイブリッド型(実写+スライド+アニメ等)ライト全体の構成の流れだけを決める
ナレーション原稿は必要最低限でOK
各素材の挿入位置をメモ程度で把握
手軽にまとめた動画
スタンダードナレーション文章をしっかり記述
各パートのつながりを意識して構成を調整
図・キャラクター・テキストそれぞれの役割を明確化
各パートの尺感(おおよその秒数)を設計

<注意点>
情報と演出を同時に詰め込みすぎない
見やすく整理された研修用ハイブリッド動画
プレミアム秒単位で各パートを設計
実写の演技・動き、アニメの動きまで含めた台本作成
スライド内容・実写・アニメの相互調整
完成時のテンポや印象、映像美まで想定した脚本レベルの設計
研修動画として最高品質のハイブリッド作品

ご覧いただいたように、仕上がりレベルが上がるほど、台本づくりで求められる作業の深さは一気に増えます。台本制作工程は表に見えにくいものですが、実際には細かな計算と組み立ての積み重ねなのです。

プロの制作現場では、この見えにくい部分をミリ単位で調整しながら仕上げているという点も、ぜひ知っていただきたいポイントです。

まとめ

研修動画の品質は、台本の段階でほぼ決まります。

そして、台本づくりは一見シンプルに見えて高度な専門性を必要とします。もちろん、内製で対応できる部分もあります。

しかし、仕上がりレベルを上げたり、複雑な内容を扱ったりする場合、台本づくりの段階でつまずき、結果として工数が膨らむケースも多くあります。

もし、

  • どこまで内製できるのか判断したい
  • 台本だけプロに相談したい
  • 制作会社に依頼する際の比較ポイントを知りたい

という方は、是非ITBeeへお問い合わせください。

台本は動画制作の“心臓”です。ここをしっかり押さえることで、教育効果の高い研修動画を効率よく作ることができます。


著者情報

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