「思っていた仕上がりと違う」を防ぐ:研修動画編集の外注で失敗しないための基礎知識

社内研修を動画化する際、制作を外注したにもかかわらず「思っていた仕上がりと違う」と感じてしまうケースは少なくありません。

こうしたズレが生まれる原因の一つが、撮影後に行われる「編集工程」が見えにくいことにあります。撮影まではイメージできても、その後どのような作業を経て動画が完成するのかを理解していないと、完成イメージとのギャップが生じやすくなります。

実際、編集は単に素材をつなぐ作業ではなく、動画の見やすさや理解しやすさを大きく左右する重要な工程です。編集内容によって必要な工数が変わるため、仕上がりのクオリティだけでなく、制作コストにも影響します。

そのため、外注する場合であっても、編集工程でどのような作業が行われているのかを理解し、求める品質とコストのバランスを整理しておくことが重要です。こうした点は、本来であれば見積もり段階で確認しておきたいポイントでもあります。

見積もりについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

これまでの記事では、研修動画は「動画の種類」と「仕上がりレベル」によって、やるべきことや完成時のクオリティが大きく変わることを整理してきました。企画や台本制作など、研修動画制作の各工程についても別記事で解説しています。

研修動画制作の全体像を整理したい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

本記事ではその続きとして、制作工程の中でも動画の完成度を大きく左右する「編集工程」を取り上げます。編集工程でどのような作業が行われているのかを整理するとともに、動画の種類や仕上がりレベルによって、編集内容や仕上がりがどのように変わるのかを解説していきます。

1.編集工程でよく起こる“認識のズレ”

研修動画の編集工程は、発注者と制作側の間で認識のズレが生じやすいポイントの一つです。こうしたズレが、「思っていた仕上がりと違う」といった結果につながることも少なくありません。

ここでは、特に多い2つの認識のズレを紹介します。

編集はすぐ終わる作業だと思われがち

編集は「カットしてつなぐだけ」というイメージから、短時間で終わる作業だと思われることがあります。

しかし実際には、編集工程では以下のような複数の作業が行われています。

  • 不要部分を削除するカット編集
  • 要点を補足するテロップの追加
  • 図や資料の挿入
  • 音量やノイズの調整
  • 最終的な書き出し作業
  • 撮影した素材の色味の調整(カラー補正)
  • トランジション(場面転換の演出)の設定
  • (必要に応じて)アニメーション演出の追加
  • BGMや、エフェクトに合わせた効果音(SE)の選定・追加

これらはすべて、動画の見やすさや理解のしやすさを高めるための作業です。そのため、内容や求めるクオリティによっては、想定以上に時間や工数がかかる場合もあります。

撮影が終われば動画は完成に近いと思われがち

撮影が終わった時点で「動画はほぼ完成している」と考えてしまうケースもあります。しかし実際には、編集工程によって動画の印象は大きく変わり、同じ素材であっても編集の仕方によって、「集中して見られる動画」にも「集中力を欠く動画」にもなります。

2.編集作業では何が行われているのか

ここでは、編集作業が動画制作においてどのような役割を担っているのかを、3つの観点から整理します。

動画のテンポを整える

撮影した映像や音声素材には、そのままでは視聴しにくい要素が多く含まれています。

例えば、

  • 言い直し
  • 不要な間
  • 話の流れに関係のない部分

などです。

これらを整理せずにそのまま動画にしてしまうと、テンポが悪く、視聴者が集中しづらい動画になってしまいます。編集工程では、こうした不要な部分をカットし、適切なテンポに整えることで、最後まで見やすい動画に仕上げていきます。

② 視聴者が理解しやすい画面に整える

動画は「映像」と「音声」の両方で情報を伝えるため、視聴者がどこに注目すべきかを明確にすることが重要です。

そのために、編集工程では以下のような要素を活用します。

  • テロップ
  • 図解や資料の挿入
  • 強調表示
  • 画面の切り替え

これらを適切に組み合わせることで、重要なポイントが伝わりやすくなり、理解しやすい動画になります。逆に、こうした設計が不十分な場合、どこに注目すべきか分かりにくくなり、内容が頭に入りにくい動画になってしまいます。

動画全体の完成度を整える

編集工程では、見た目や聞こえ方といった「視聴体験の品質」を整える作業も行われます。

具体的には、以下のような調整です。

  • 音量の調整
  • ノイズの除去
  • 色味や明るさの調整(色調整)
  • BGMの追加
  • オープニングやエンディングの挿入

これらは一つひとつは細かな作業ですが、積み重なることで動画全体の印象や完成度に大きな差が生まれます。

3.動画の種類×仕上がりレベルで変わる「編集でやること」

では実際に、動画の種類や求める仕上がりレベルによって、編集工程で行われる作業はどのように変わるのでしょうか。

ここでは、動画の種類を「スライド+ナレーション型」「実写型」「アニメーション型」「ハイブリッド型」の4つに分類し、仕上がりレベルを「ライト」「スタンダード」「プレミアム」の3段階に分けて整理します。

※動画の尺は5〜10分程度を想定しています。

スライド+ナレーション型

仕上がりレベル編集でやること注意点仕上がりイメージ
ライト不要部分のカット編集
スライドとナレーションのタイミング調整
音量調整など最低限の音声調整
スライドの表示時間が短すぎると理解しにくい。カットしすぎると説明が不自然になる。既存スライドを読みやすく整理したシンプルな動画。
スタンダードカット編集によるテンポ調
要点テロップの追加
図や強調表示の挿入
画面ズームなど視線誘導の調整
テロップや演出が多すぎると情報過多になる。映像とナレーションの役割が重複しないようにする。見やすく整理された標準品質のスライド動画。
プレミアム画面の展開テンポを細かく設計
図解やインフォグラフィックの追加
高度なモーションやアニメーション演出
演出を増やしすぎると研修動画としての理解を妨げる場合がある。完成度の高い“作品”としてのスライド動画。

実写型

仕上がりレベル編集でやること注意点仕上がりイメージ
ライト不要部分のカット編集
話し直し部分の整理
音量調整など基本的な音声処理
カット編集のみだと単調になりやすい。音声品質が動画全体の印象を左右しやすい。講師説明をそのまま整理したシンプルな実写動画。
スタンダードカット編集によるテンポ調
テロップの追加
図や資料の挿入
複数カメラの切り替え
テロップや演出が多すぎると情報過多になる。映像とナレーションの役割が重複しないようにする。見やすく整理された標準品質のスライド動画。
プレミアム色味や明るさの調整(カラー調整)
演出テロップや図解の高度な演出
BGMや効果音による演出強化
演出が強すぎると研修動画としては過剰になる場合がある。映像作品レベルの研修動画。

アニメーション/モーショングラフィックス

仕上がりレベル編集でやること注意点仕上がりイメージ
ライトナレーションに合わせてシーンをつなぐ
簡易的な動きの調整
動きが少ないと単調になりやすい。シンプルな説明アニメ。
スタンダードナレーションに合わせた画面展開の調整
図やキャラクターの動きの調整
シーンごとのテンポ設計
情報と動きを同時に増やしすぎない。標準品質のアニメーション動画。
プレミアム秒単位でのテンポ設計
複雑なモーション演出
画面全体の演出設計
高度な演出ほど制作工数が増える。高品質のモーショングラフィックス作品。

ハイブリッド型(実写+スライド+アニメ等)

仕上がりレベル編集でやること注意点仕上がりイメージ
ライト各素材を順番につなぐ
簡易的なカット編集
素材の切り替えが唐突だと見づらくなる。手軽にまとめた動画。
スタンダード素材ごとの役割を整理して編集
テロップや図の統一デザイン調整
各パートのテンポ調整
情報と演出を同時に詰め込みすぎない。見やすく整理された研修用ハイブリッド動画。
プレミアム各素材の連携を設計
実写とアニメの動きの連動
全体のテンポ
演出を統合設計
素材の多さによって制作難易度が上がる。研修動画として最高品質のハイブリッド作品。

4.編集を内製する場合

ここまで見てきたように、編集工程ではさまざまな作業が発生し、動画の完成度に大きく影響します。

内製の場合は動画編集ソフトの準備が必要になり、代表的なソフトとしては、「Adobe Premiere Pro」や「DaVinci Resolve」などのプロ向けツールのほか、「Canva」や「CapCut」といった比較的手軽に使えるものもあります。

また、ソフトにはサブスクリプション型と買い切り型があり、機能やできることにも差があるため、目的に応じた選定が必要です。

ただし、ソフトを用意すれば同じ品質の動画が作れるわけではありません。実際には、不要な間や言い間違いをカットしたり、視聴者が理解しやすいテンポに整えたりといった編集スキルが必要になります。慣れないうちは、数分の映像を編集するだけでも想像以上に時間がかかることも珍しくありません。

動画編集の内製化の進め方や初心者がつまずきやすいポイントについては、別記事で詳しく解説予定です。

一方で、「すぐに高品質の動画を作りたい」「まずは見本となる動画を用意したい」という場合は、外注を頼ることを検討してもよいかもしれません。

5.まとめ

編集は、撮影した素材をつなぐだけの作業ではなく、動画の見やすさや理解しやすさを整える重要な工程です。そのため、同じ素材であっても、編集の設計によって動画の完成度は大きく変わります。

また、動画の種類や仕上がりレベルによって、編集工程で必要となる作業や工数は大きく異なります。一般的に、編集工程においてはコストとクオリティは比例する傾向にありますが、過度にクオリティを追求すると、必要以上のコストがかかる場合もあります。

そのため、理想とするクオリティとコストのバランスを整理したうえで制作を進めることが重要です。外注する場合には、制作会社によって対応できる編集のレベルや範囲が異なるため、事前に制作工程を理解し、認識をすり合わせておくことが求められます。

判断に迷う場合は、制作工程の整理段階から相談することで、完成イメージのズレを防ぐことができます

ITBeeでは、動画の種類や仕上がりレベルに応じて、編集工程の設計からご支援しており、「思っていた仕上がりと違う」といったズレを防ぐサポートを行っています。研修動画制作についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

著者情報

LMSベンダーの株式会社ITBeeが、eラーニングシステム、教材コンテンツなどに関するお役立ち情報をお届けします。eラーニングの導入・活用に、ぜひお役立てください。