1.研修、「実施すること」がゴールになっていませんか?
研修の受講率は高く、理解度テストの結果も悪くない。LMSを確認しても、多くの社員が予定どおり学習を終えている。
一見すると、社内教育は順調に進んでいるように見えます。しかし、研修で学んだことは、実際の業務で活かされているでしょうか。
受講率やテスト結果から、社員が「研修を受けたこと」「内容を理解できていること」は確認できます。しかし、それだけでは、学んだ知識やスキルを実際の業務で使えているかまでは分かりません。多くの企業様からも、社内研修やeラーニングを実施しているが、本当に社員の成長につながっているのか分からない、という声を聞きます。
これを解決するには、研修を実施するだけでなく、その後の行動や業務にどのような変化があったのかまで確認する必要があります。
2024年に日本教育工学会論文誌に掲載された企業内技術研修に関する研究でも、研修直後の意識だけでなく、半年後に研修内容が実際の業務でどの程度活用されたかという「研修転移(研修で学んだ内容を実際の業務で活用すること)」の実績まで調査※されています。
一方で、受講者が決められた研修をそのまま受講し、「実施して終わり」という「やりっぱなし」の状態になっているケースも少なくありません。これでは、学んだ内容を、どこでどのように現場で活かせばよいのかわからず、十分な効果が得られないまま、研修自体が形骸化してしまう可能性があります。
このように研修を「やりっぱなし」で終わらせず、確実な現場実践と成長につなげるためには、どのような仕組みが必要なのでしょうか。
本記事では、研修前後の設計から現場での実践、LMSを活用したフォロー・改善までの具体的な進め方を解説します。
2.教育効果を高める鍵は「全体設計」にあり
社員の成長につながる教育を実現するためには、「どんな研修を実施するか」だけでなく、研修の前後も含めて、社内教育全体を一連の仕組みとして捉えることが大切です。
2-1.目的・ゴールを決める
どのような人材を育てたいのか、教育によってどのような状態を目指すのかを明確にします。
関連記事:社内教育の進め方ガイド:中堅・中小企業がまず整えるべき教育体系とは

2-2.必要な教育を設計する
目標と現状の差を整理し、身につけるべき知識やスキルを洗い出します。
関連記事:新入社員研修は「何を・どこまで」教えるべき?定着につながる設計を解説

2-3.eラーニング・OJTなどを使い分ける
知識の習得はeラーニング、実践的なスキルはOJTなど、教育内容に合わせて方法を使い分けます。
関連記事:少人数でも実現できる社内教育とは?eラーニングで教育効果を高める仕組みづくり

2-4.学習状況を把握する
受講状況やテスト結果などから、学習がどこまで進んでいるのかを確認します。
関連記事:LMS(学習管理システム)とは?基本理解・導入メリット・製品の選定と運用のポイント

2-5.結果を次の教育へ反映する
学習状況や現場での結果をもとに、教材や教育方法を見直します。
関連記事:eラーニングの研修で効果はある?メリット、注意点、効果を高める仕組み化の方法を解説

このように、目的設定から学習、実践、振り返り、改善までを循環させることが重要です。
では、具体的にどのように研修前後のプロセス(全体設計)を組み立てればよいのでしょうか。次に、現場で実践するための時系列の設計例をご紹介します。
3.現場実践と成長につながる、研修前後を含めた「教育の設計」とは?
研修で学んだ内容を現場での実践につなげるためには、研修「当日」だけでなく、その前後を含めた一連のプロセスを設計することが重要です。
ここでは、社員が学んだことを現場で実践し、定着させるための一つの設計例をご紹介します。
3-1.研修前(事前巻き込み)
上長と受講者が事前面談を行い、「今回の研修で学んだことを、どの業務で試すか」という現場での活用ゴールを約束します。
3-2.研修時(学習&行動設計)
研修やeラーニング等で知識を習得した後、テストだけで終わらせず「明日から何を実践するか」というアクションプラン(行動計画)を作成し、上長と共有します。
3-3.1〜3か月後(定着確認&OJT)
職場でのOJTや1on1ミーティングを通して、アクションプランに沿って実践できているかを上長・指導員が確認し、フォローします。
3-4.半年後(成果測定・評価)
実際の業務で活用できた事例や成果を振り返り、評価や次の目標に反映します。
このように、「研修前(活用ゴールの設定)→ 研修(学習・行動計画)→ 研修後(OJT・振り返り)→ 評価」までを一連の流れとして設計することで、研修で学んだ知識を現場での行動につなげやすくなります。
4.LMSを使った現場実践と定着のための仕組み
LMSを活用すれば、受講状況や進捗率、テスト結果などを記録でき、社員の学習状況を把握しやすくなります。しかし、「LMSに記録された数字=実際の成長」とは限りません。
4-1.「受講率90%・テスト合格」でも、現場ではできていない?
たとえば、電話応対についてeラーニングで学んだ社員が、
- 受講率:90%
- 理解度テスト:合格
だったとします。
数字だけを見れば順調ですが、OJTで実際の電話応対を確認すると、「敬語を適切に使えない」「保留・取り次ぎを間違える」といった課題が見つかるかもしれません。
また、動画が「100%視聴済み」でも、再生したまま席を離れていた可能性もあります。
知識として理解していることと、実際の業務で使えることは同じではありません。受講履歴だけでは、どこまで実践できる状態になったのかまでは判断できないのです。
4-2. 現場とLMSを組み合わせた実践手法
そこで、3章で紹介したような教育設計を実践する際に、LMSを活用して学習と実践の状況をつなげて管理する方法があります。ITBeeのSpeedLMSの「チェックブック」では、OJTやロープレを通して社員の実践状況を確認し、「できている/できていない」といった評価結果をスマホやPCからLMS上に直接入力できます。
これにより、LMSの学習データと現場での実践データを一か所で確認できるようになり、社員の状況をより具体的に捉えやすくなります。
3章で紹介した教育設計とLMSを組み合わせると、次のようなサイクルをつくることができます。

受講状況やテスト結果、OJTやロープレでの評価を可視化することで、
- 学習が途中で止まっている
- テストでつまずいている
- 学習は完了しているが、実践に課題がある
といった状況を把握しやすくなります。
さらに、学習の進捗や成果をチーム内で共有することで、研修への取り組み状況が見えるようになり、「とりあえず受講して終わり」ではなく、最後まできちんと取り組む意識づくりにもつながります。
また、フォローが必要な人や項目をデータから把握できるため、全員を細かく確認するのではなく、必要な支援に集中できます。
4-3.OJTやロープレで見つかった課題をLMSで復習する
OJTやロープレで課題が見つかった場合は、その内容に合わせて必要な部分をLMSで学び直すこともできます。
電話応対研修を例にすると、「保留・取り次ぎ」ができていないと分かった場合、研修内容をすべて見直すのではなく、該当する動画や教材だけを再度確認します。
このように、できていない部分に絞って復習することで、効率よく学び直すことができます。
学習 → 実践 → 評価 → 必要な部分を復習 → 再実践
というサイクルをつくることで、OJT担当者や指導者が同じ内容を一から説明する負担の軽減にもつながります。
5.現場に負担をかけず、「成果につながる教育」を続けるために
教育効果を高めるために重要なのは、LMSだけに任せることでも、すべてを人が確認することでもありません。
LMSなどの仕組みと、人による実践・フォローを組み合わせることが大切です。
そのためには、実践につなげられるコンテンツを用意すること。そして、学習状況と現場での実践をつなぎ、必要なフォローや学び直しができる環境を整えることが必要です。
5-1.「見て終わり」にしないeラーニングコンテンツをつくる
長時間の動画は「ながら受講」になりがちです。社内教育を定着させるには、短時間で学べるマイクロコンテンツ化や、途中に確認テスト・課題提出を挟み「現場で実践させる」構成が不可欠です。
ITBeeのeラーニング動画制作サービス「Beeクラフト」では、学びの専門家が要点を絞った動画構成と実践的な課題設計を取り入れ、「見て終わり」にならない高品質なeラーニング教材の制作を支援します。
5-2.学習と現場での実践をLMSでつなぐ
研修を継続的に改善するためには、受講状況やテスト結果だけでなく、現場で「できているか」まで確認できる仕組みが必要です。
ITBeeの「SpeedLMS」では、動画や教材の配信、受講状況・テスト結果の管理に加え、チェックブックを活用してOJTやロープレでの評価も記録できます。
学習と実践の状況を一緒に確認できることで、必要なフォローや学び直しにつなげやすくなります。
また、こうして実態に近い学習・実践データを日々蓄積しておくことは、将来的にAIを活用した個別フォローや分析を行う際にも重要な基盤となります。
5-3.「一度教えて終わり」から、教育が回り続ける仕組みへ
社内教育は、一度研修を実施すれば完成するものではありません。
学ぶ → 実践する → 評価する → 必要な内容を学び直す
このサイクルを継続しながら、自社に合った教育へ改善していくことが重要です。
「研修を実施して終わり」ではなく、社員の成長を確認しながら継続的に教育を改善していきたいとお考えの方は、ぜひITBeeへご相談ください。


