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eラーニングの導入は年々進んでいますが、「導入したものの効果が感じられない」「社員の学習が続かない」といった声も多く聞かれます。
実は、eラーニングは“導入するだけ”では成果が出にくい研修手法です。成果を引き出すには、適切な運用と“学びが続く仕組み”が不可欠です。
この記事では、eラーニングの本質的な効果やメリット、失敗しがちな落とし穴、そして効果を最大化する仕組みについて、具体例を交えながら解説します。

この記事で分かるポイント

  • eラーニング研修の効果とは何か? ― 基本的なメリットを整理
  • 効果が出ない原因と対策 ― よくある失敗例とその回避方法
  • eラーニング研修の効果を最大化する方法 ― LMSの導入と選定ポイント

eラーニングを使った研修に期待する4つの基本メリット

1. 学習の柔軟性が高い(時間・場所に縛られない)

eラーニングの最大の特長は、「いつでも・どこでも・何度でも」学べることです。 社員は業務の合間や移動中、自宅など、自分のスケジュールやライフスタイルに合わせて受講が可能です。

これにより、以下のような状況にも対応できます。

  • フルタイム勤務者だけでなく、時短勤務・在宅勤務の社員にも配慮した研修設計が可能
  • 拠点が複数ある企業や、全国展開・海外展開している企業でも一貫した教育が実現可能
  • 学習時間を「業務のスキマ時間」に分散できることで、業務への支障を最小限に抑えられる

特に多様な働き方が求められる現代では、「柔軟に学べること」が人材開発における強みになります。

2. 教育コストを削減できる

eラーニングは、従来の集合研修に比べて大幅なコスト削減が見込めます。たとえば、

  • 会場費(研修ルームや会議室のレンタル)
  • 講師派遣費(移動・宿泊・講師料など)
  • 交通費・宿泊費(受講者の移動にかかる費用)
  • 印刷物・教材費

これらのコストがすべて不要、あるいは大幅に削減されます。さらに、教材が一度作成されれば、繰り返し利用可能なため、一度の投資で長期的に教育効果を得ることが可能です。特に社員数が多い企業ほど、この「スケールによるコストメリット」は大きくなります。

3. 内容の標準化と繰り返し学習が可能

eラーニングは、一貫性のある教育を全社に展開するのに最適な手段であり、講師の質や進行スピードに左右されることなく、全社員が同じコンテンツ・同じ水準で学ぶことができます。

また、動画やスライド資料などの形式で教材が残るため、

  • 内容を忘れても、いつでも見返して復習できる
  • 異動者・中途採用者向けに「いつでも受講できるオンボーディング教材」として活用できる
  • 社内試験や認定制度における再受講にも対応可能

といった「繰り返し学習」や「後から学ぶ」ことへの対応が容易です。

4. 受講履歴や学習状況の可視化ができる

LMS(学習管理システム)を活用すれば、受講者の進捗状況をリアルタイムで確認できます。

  • 誰が、いつ、どの講座を受講し、どのくらいの時間をかけたか
  • テストやクイズの正答率・成績の把握
  • 受講未完了者へのリマインド通知の送信

など、学習の定量的な可視化とデータに基づいたフォローアップが可能になります。

これにより、教育担当者の業務効率が大幅に向上するだけでなく、「教育の成果」を上司や経営層に対して明確に報告することができ、社内での研修評価にもつながります。

効果が出ないeラーニング研修の共通点と原因

効果が得られていないeラーニング研修には、以下のような共通点があります。

  • 受講率が低い:学習が“任意”扱いで、学ぶ必要性が浸透していない
  • 受講完了率が低い:途中でやめてしまう人が多く、継続できない設計
  • 受講満足度が低い:「つまらない」「役に立たない」など、受講者が興味を持てない
  • 学習効果が低い:学びっぱなしで、業務にどう活かすかが見えていない

よくある原因と対策

  • 学習が業務と結びついていない:コンテンツを業務課題に直結させる設計にする
  • 学習状況を追えていない:LMSで進捗管理・リマインド機能を活用する
  • 教材の量が少ない:学習の管理者が、どんどんコンテンツを増やせる仕組みを作る
  • 教材の質が低い:専門家による監修や現場の声を反映させるなど、質の高い内容にする

重要なのは、自律的な学習習慣を育てるための「場」を整備することであり、それと合わせて、より多くの良質な教材コンテンツで学習できる”仕組みづくり”が必要となります。

eラーニングの研修効果を最大化する“続けられる”仕組みとは

eラーニングを導入しただけで、社員のスキルが自然に向上するわけではありません。研修の成果を出すためには、「継続的に学べる環境の整備」が不可欠です。

そのためには、以下の2つの要素が特に重要です。

1. 良質なコンテンツを継続的に蓄積・提供できること

学習効果を高めるには、目的に合った高品質な教材 が欠かせません。
しかし現場では、教材を作成・管理する負担が大きくなりすぎると、次第に新しいコンテンツが増えなくなり、教育活動自体が停滞してしまうリスクがあります。

つまり、教材を「作る側」「運用する側」にとって、扱いやすい仕組みがあることが、教育の継続性を支える前提となります。

また、教材の量だけに注目してはいけません。学習者の理解度や業務との関連性を意識した設計がなければ、単なる“動画視聴”で終わり、スキルや行動の変化にはつながりません。

具体的には、以下を検討・実施することが必要となります。

パッケージコースの導入で定型知識を効率的に習得する

すでに完成しているパッケージのeラーニングコースを導入することで、定型的な知識を効率よく揃えることができます。とくに基本的なスキルや共通理解が必要なテーマにおいては、有効な選択肢です。

ただし、パッケージはあくまでも汎用的な知識の提供が目的です。業務に直結した実践力を身につけるためには、自社の業務に即したオリジナルコンテンツを組み合わせることが重要です。

誰でも簡単に作れるコンテンツ制作の仕組みを整える

eラーニングの導入にあたっては、現場の担当者でも使える仕組みづくりが成功の鍵です。
eラーニングシステムやコンテンツ制作ソフトは多種多様ですが、操作が難しいと定着しません。そのため、導入前にリテラシーレベルとの適合性をよく確認する必要があります。
また、現場がスムーズにコンテンツを作れるようにするために、以下のような支援策が有効です。

  • 作成用テンプレートの用意
  • 制作マニュアルの整備
  • 社内勉強会やハンズオンセミナーの実施

外部の専門業者を活用する

社内リソースが不足している場合や、より効果的なコンテンツを作りたい場合は、外部業者の活用も検討しましょう。

コンテンツ制作には、通常以下の3つの工程があります。

  1. コンテンツの設計(構成や学習ゴールの設定)
  2. シナリオ・原稿の作成
  3. 実際の制作(映像、資料、ナレーションなど)

社内でできる範囲に応じて、必要な工程だけを外注することも可能です。

  • 社内でできる範囲に応じて、必要な工程だけを外注することも可能です。
    • 原稿まで社内で作れる → 制作(③)のみ外注
    • 方向性や素材がある程度ある → シナリオ作成から(②+③)を外注
    • 何も決まっていない → 全工程(①~③)を一括で依頼

    このように、状況に応じて柔軟に業者を活用することで、効率的かつ高品質なコンテンツ制作が実現できます。まずは、eラーニング制作を専門とする業者に相談してみることをおすすめします。

    2. 学習効果を高めるLMS(学習管理システム)を利用する

    eラーニングの継続と成果を最大化するには、学習しやすいLMSの適切な活用が欠かせません。

    効果的なLMSは、単なる教材配信ツールではなく、学習の継続と成果の最大化を支える重要なインフラとして機能します。

    具体的には、以下のような機能やサポート体制が求められます。

    直感的で使いやすい操作画面

    LMSがわかりやすく設計されていれば、ITリテラシーに関係なく、誰でもスムーズに学習を開始できます。受講者の負担を最小限に抑えることが、継続的な学びにつながります。

    進捗状況の可視化と自動リマインド機能

    LMS上で受講状況をリアルタイムに確認できることは、管理者にとって大きなメリットです。また、未受講者への自動リマインド機能があれば、個別のフォロー負担を減らしながら、受講率を自然に高めることが可能です。

    運用サポートや定着支援

    LMSの機能を最大限活かすためには、単にシステムを導入するだけでなく、初期設定や教材登録、運用フローの構築などを支援してくれる体制が重要です。運用が現場に根付くことで、eラーニングは“やって終わり”ではなく、成果につながる教育施策として機能します。

    LMS選定で押さえておきたい6つのポイント

    LMSはさまざまな製品が存在し、機能や価格も多岐にわたります。ここでは、選定時に確認しておきたいポイントを紹介します。

    操作性・UIのわかりやすさ

    直感的な操作ができるかどうかは、受講率や定着率に直結します。できれば実際の画面を試用し、「初心者でも簡単に使えるか?」を基準に見てみましょう。

    対応デバイス(スマホ・タブレット・PC)

    受講者の学習スタイルに合ったマルチデバイス対応は必須。とくにスマートフォン対応は重要です。

    テスト・アンケート・レポート機能

    研修成果を定量的に把握するためには、測定機能が欠かせません。レポートの出力形式や見やすさもチェックしましょう。

    受講管理・通知機能の充実度

    自動リマインドや未受講者の一覧表示機能など、受講の進行をサポートする機能があると、管理負担を大幅に軽減できます。

    導入後のサポート体制

    ツールだけでなく、**「導入・運用をサポートしてくれるか」**という視点も重要です。初期設定・教材登録・運用相談など、伴走してくれる体制があるかどうか確認しましょう。

    導入後のカスタマイズが可能

    LMS導入はあくまでスタートラインです。将来的な社内教育の拡張(階層別研修・外部講師連携など)に柔軟に対応できる拡張性もポイントです。

    まとめ:eラーニング研修の効果は”環境”と”コンテンツづくり”の仕組み化で決まる

    eラーニングは、単に導入するだけでは効果が出づらい研修手法です。
    しかし、「導入しただけ」では期待した成果は得られません。

    真に効果的なeラーニング研修を実現するには、学習しやすい“環境”を整え、良質な教材を継続的に提供できる“コンテンツづくりの仕組み”を構築することが不可欠です。

    特にLMSの活用は、教育の効率化と可視化を支え、研修の質を飛躍的に向上させます。これからeラーニングを導入・改善したい企業にとって、戦略的な運用こそが成功の鍵となります。