― eラーニングは人材育成の基盤(インフラ)―
近年、企業における社員教育のあり方が大きく変化しています。少子高齢化による人材不足、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、働き方の多様化など、組織が抱える課題は複雑化しています。
これまでの集合研修やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)は、一定の成果を上げてきた一方で、「時間・場所の制約」や「教育コストの増大」といった課題も抱えていました。
その中で注目されているのが、eラーニングを活用した社員教育です。オンラインで場所や時間を問わず学べるeラーニングは、効率的かつ継続的な人材育成を可能にします。
本記事では、社員教育におけるeラーニングの基本から、導入メリット、成功のポイントまでをわかりやすく解説します。
社員教育におけるeラーニングとは
まずは基本的な理解として、eラーニング(e-learning)とは、ICT(情報通信技術)を活用して、オンラインで学習を行う教育手法のことです。パソコンやスマートフォン、タブレットを使って、 いつでもどこでも受講できる点が大きな特徴です。
これまでの「集合研修」「紙教材」中心の教育と違い、eラーニングはデジタル化された教材を繰り返し学べるため、受講場所や受講時間に制限を設けることなく、教育の質とスピードを両立させることが可能です。
そして、社員教育として導入するeラーニングでは、LMS(Learning Management System)と呼ばれる、学習管理システムが重要な役割を果たします。 LMSには、社員一人ひとりの受講状況や理解度を可視化し、学習進捗を効率的に管理できる機能があります。
社員教育としてeラーニングを取り入れるメリット
eラーニングの市場規模は堅調に推移しており、今後も導入する企業が増えることが予測されます。ここでは、eラーニングを取り入れることで企業が得られるメリットをご紹介します。
変化の早さに対応した社員教育が可能
消費者の価値観が多様化した近年、企業は新しい製品やサービスの提供が求められています。しかし、従業員が新しい変化に対応する知識を身に付けるためには、集合研修の開催などコストと時間が必要です。eラーニングを活用すれば、従業員は通常業務を止めることなく、隙間時間で研修を受けることが可能になります。
多様化する働き方に合わせた学習方法
リモートワークの増加やワークライフバランスを求めるなど、働き方が多様化しています。従来のような固定化された社員教育ではなく、場所や時間を問わず、従業員のタイミングに合わせて実施できる教育スタイルが実現できます。
国際化への迅速な対応を取り入れるため
グローバル化が進み、海外進出を目指す企業は増加しています。また、海外から従業員を受け入れる企業も増えています。そのため、国籍・人種・文化・言語が混在する社内環境の場合、集合研修が最適な選択肢ではなくなってきています。多様な従業員に対してきめ細やかな教育を実施する手法として、eラーニングはとても効果的です。
コスト削減につながる
集合研修を実施する場合、会場費・交通費・宿泊費など、膨大な時間とコストが必要です。また、集合研修だとその場限りの研修になりやすく、復習がしづらくなるケースは少なくありません。しかし、eラーニングによる研修を導入すれば、インターネット環境さえあれば場所を選ばず研修を受けることができます。また、管理者が動画を削除しない限り繰り返し視聴することができるため、理解も深まります。このように、eラーニングによる研修はコストを削減し、受講者の理解度向上につなげることができます。
社員教育でeラーニングを活用するシーン
企業が社員教育の一環としてeラーニングを活用するシーンをご紹介します。社員教育の方法に悩みを抱える教育担当の方は、参考にしてください。
内定者教育で活用
内定者の教育を目的にeラーニングを導入する企業が増加しています。入社前に内定者教育を行うことは、企業にとって多くのメリットがあります。入社段階である程度の知識を積んだ新入社員を迎え入れることができ、早期の戦力化を見込むことができるためです。しかし、内定者によっては入社に合わせて引越しをしたり、学校やアルバイトなどで研修日程が合わないケースが多いです。受講者のタイミングで視聴できるeラーニングは、内定者教育に最適な方法です。
新人研修で活用
入社後に行われる新人研修は、毎年同じような内容の研修を実施することも多いです。重複する内容についてeラーニングのコースを作っておくことで、研修を実施するコストや講師となる従業員の時間を削減することができます。その他に、受講者の学習・成果進捗を測ることも可能です。学習状況や確認テストのデータをもとに、配属先を決定する判断材料にすることができます。
全社研修に活用
複数の事業所をもつ企業が全社共通の研修を行う際に、eラーニングを活用する機会が増えています。このような企業が研修を行う場合、集合研修をするとき会場費や交通費などのコストが発生します。しかしeラーニングを導入すれば、会場費などのコストをかけずに全社員共通の研修を実施することができます。
階層別研修の知識習得部分に活用
リーダー研修やマネジャー研修等、階層別の研修は、その内容から集合での研修が多くなります。しかし、1泊2日や2泊3日など、現場で最も中心を担う世代がその期間、抜けることは会社にとって大きな痛手となります。eラーニングを活用することで、少なくとも知識の暗記や習得部分については、研修の前に1か月間等の期間を使って学習しておいてもらえると、集合研修自体の日数を減らすことが可能となります。
社内の情報伝達ツールとして活用
自社の製品・サービスに関する資料やアンケートの収集・共有といった、コミュニケーションをとるためにeラーニングを導入する企業もあります。eラーニングに備わっているシステムを使用し、社員マネジメントのツールとしても活用されています。
eラーニング導入の基本的な流れ
実際にeラーニングを導入する際の基本的なステップは以下の通りです。
- 現状分析と課題整理
教育の目的・課題・対象者を明確にし、導入の方向性を決める。 - 製品・サービスの選定
比較検討を行い、自社の目的に最適なeラーニングの製品・サービスを選ぶ。 - 運用設計
受講ルール、評価基準、運用体制を整備する。 - 導入・社内周知
社員への周知、マニュアル作成、サポート体制を構築する。 - 効果測定・改善
LMSで取得したデータをもとに、教育効果を評価し改善につなげる。
このプロセスを確実に実施することで、社員教育の成果を最大化できます。
eラーニングに欠かせない!LMS活用の重要ポイント4つ
自社の目的に合ったeラーニング環境を構築するには、LMS(学習管理システム)は欠かせないシステムであり、上手く活用するには、次の4つのポイントを押さえることが重要です。
- 企画・選定
導入目的と予算に沿ったLMS(学習管理システム)を選ぶ。デモ利用などで実際に操作し、使用感を確かめるようにしましょう。当社で開発している「SpeedLMS」も無料デモをご利用いただけます。ぜひお試しください。 - 運用体制
LMSを運用する担当部署を決める(例えば、情報システム部など)。 - 研修計画
社内の各部署でのニーズをヒアリング・把握し、LMSで配信する研修の計画をする。 - 導入・運用
導入する部署に対して継続的にサポートし、コンテンツが常に更新されるようにする。
eラーニングは「導入して終わり」ではなく、事前に導入目的、社内体制を整備し、「運用・改善を通じて定着させる」ことが鍵です。

まとめ:社員教育の未来を支えるのは「継続できる仕組み」
eラーニングは、単なる教育手法ではなく、これからの人材育成に不可欠な基盤(インフラ)といえます。教育を一時的なイベントではなく、社員が自発的に学び続けられる仕組みとして設計することが、今後の企業成長の鍵となります。
人材育成の成果は、教育の“継続性”に比例します。最適なLMSを選び、eラーニングを通じて、社員一人ひとりが成長を実感できる組織を目指しましょう。


