少人数でも実現できる社内教育とは?eラーニングで教育効果を高める仕組みづくり 

1.社内教育の現場で起きている課題とは

近年、多くの企業で「人材が育たない」「教育が追いつかない」といった課題が聞かれるようになりました。少子高齢化による人材不足や人材の流動化が進む中、限られた人員で社員を育成し、早期に戦力化することがこれまで以上に重要になっています。

しかし、多くの企業では教育担当者や現場に教育を任せる運用が続いています。教育担当者の負担が大きくなっている企業も少なくありません。 

このような課題を解決するためには、教育担当者の努力や現場の善意だけに頼るのではなく、教育そのものを仕組みとして考えることが重要です。 今、企業に求められているのは、「誰が担当しても一定以上の品質で教育がおこなえる仕組み」を整え、「より効果を高める仕組み」を作ることです。教育内容を標準化し、人と仕組みとで役割を切り分けることで、教育品質を維持しながら継続的な運用がしやすくなります。

次章では、社内教育が属人化すると具体的にどのような課題が生じるのかについて、詳しく見ていきます。

2.社内教育が属人化すると起こる3つの課題

社内教育の属人化は、主に「教育効果」「ノウハウの蓄積」「現場のキャパシティ」という3つの観点で大きな課題につながります。

ここでは、それぞれどのような問題が起こるのかを具体的に見ていきます。

2-1.教育内容や品質にばらつきが生まれる

担当者によって経験や知識、教え方は異なります。そのため、同じ業務を教えていても、「教わる人によって内容が違う」「必要な知識が抜けてしまう」といった状況が起こりがちです。

また、社内で教育を担当する人が、必ずしも教育の専門知識やノウハウを持っているとは限りません。他部署から異動して教育を担当するケースなどでは、「何を、どのように教えれば効果的なのか」が十分に整理されないまま、研修や教材制作が進められることもあります。

例えば、教育のDX化を進めるために研修を動画化しても、従来の研修資料をそのまま読み上げるだけでは、学習者にとって分かりにくく、期待した教育効果が得られない可能性があります。

このように、教育内容や教え方が担当者個人の経験・スキルに依存していると、社員の理解度や習熟度に差が生まれるだけでなく、研修そのものの教育効果も十分に得られなくなるおそれがあります。

2-2.教育担当者の異動・退職でノウハウが失われる

教育内容が担当者の頭の中にしかない場合、異動や退職が発生すると、それまで蓄積してきたノウハウも失われてしまいます。

後任者は一から教育方法を考えなければならず、これまで蓄積してきた知識や経験を活かすことができません。その結果、本来であれば必要のない教材の作り直しや教育方法の検討に時間を要するなど、余計な人的・時間的コストが発生してしまいます。

2-3.教育担当者・現場担当者の負担が大きくなる

教育担当者は、教材作成や研修の実施、受講状況の確認、フォローなど、多くの業務を抱えています。また新入社員研修後は、各部署で現場担当者によるOJTへ移行する企業も少なくありません。実際、厚生労働省「令和6年度能力開発基本調査」によると、正社員の新入社員に対して計画的なOJTを実施した事業所は54.7%となっています。(出典:厚生労働省「令和6年度能力開発基本調査」

しかし、現場担当者は通常業務だけでも多くのタスクを抱えているケースが少なくありません。そこにOJTなどの教育業務が加わることで、通常業務と教育の両方を十分に行おうとすると、担当者の業務負担が過度に大きくなるおそれがあります。

限られた時間の中ですべてに対応することが難しくなれば、緊急性の高い通常業務が優先され、教育が後回しになってしまうこともあるでしょう。

このように、教育を人に依存したままでは、教育担当者の負担が増えるだけでなく、教育効果にもばらつきが生じてしまいます。継続的な人材育成を実現するためには、教育を仕組みとして運用する考え方が重要になります。

3.社内教育の効果を高める「人」と「仕組み」の考え方 

ご紹介した3つの課題を解消するためには、社内教育の属人化から脱却し、「人が担う教育」と「仕組みに任せる教育」を整理することが重要です。

例えば、ビジネスマナーやコンプライアンスなど、誰に対しても共通して伝える内容を、毎回人が説明する必要はありません。こうした内容は動画コンテンツなどの教材として整備し、eラーニングで配信することで、教育内容を標準化できます。さらに、理解度テストの結果や受講状況をデータとして管理することで、教育状況の把握やその後のフォローにも活用できます。

一方で、動画化が難しいテーマの教育や、実務を通じた個別の指導・フィードバック、モチベーション管理などは、「人」だからこそ担える重要な役割です。

また、仕組みに任せるからといって、すべてを自社だけで整備する必要はありません。社内にITや教材制作のノウハウが不足している場合は、必要に応じて外部の専門家を活用することも一つの方法です。

重要なのは、すべてを人が行うことでも、すべてをシステムに置き換えることでもありません。教育の目的や内容に応じて「人」「仕組み」「外部リソース」の役割を適切に組み合わせることで、少人数の教育担当でも、教育効果を高めながら継続的に運用できる体制をつくることができます。

4.eラーニングを効果的に活用して社内教育を実現する方法 

教育効果を維持しながら継続的に運用するためには、教材や動画コンテンツの制作から、学習・実践・フォローまでを含めた教育全体の仕組みを設計することが重要です。 

具体的には、「何をeラーニング化するのか」「どのように学習してもらうのか」「学習後の効果をどう確認するのか」といった点を整理していきます。

4-1.eラーニング化する教育テーマを整理する

まずは、現在行っている社内教育のカリキュラムを整理し、その中からeラーニングに適したテーマを洗い出します。

「全社員が必ず受講するもの」「対象者のみ受講するもの」「希望者が任意で受講するもの」などに分類し、誰に何を学んでもらうのかを整理しておくことも重要です。

4-2.コンテンツと学習のゴールを設計する

eラーニング化するテーマが決まったら、教材や動画コンテンツを制作します。

このとき重要なのは、コンテンツを用意すること自体をゴールにしないことです。「動画を最後まで視聴すれば完了」「理解度テストで一定の点数を取れば修了」「受講後にレポートを提出する」など、テーマごとに学習のゴールを設定しておきます。

4-3.受講・管理の運用ルールを決める

eラーニングは、コンテンツを配信しただけで全員が自主的に受講してくれるとは限りません。そのため、受講開始後の運用方法まであらかじめ設計しておく必要があります。

例えば、受講期限をいつまでにするのか、未受講者へいつ・どのようにリマインドするのか、受講状況やテスト結果を誰がどのタイミングで確認するのか、その結果を誰に報告するのか、といったルールを決めておきます。

4-4.学習後の実践とフォローまで設計する

学習後に「現場で実践できているか」を確認する仕組みも必要です。OJTで実践する機会を設けたり、上司や現場担当者が行動を確認してフィードバックしたりするなど、学習内容に応じた評価・フォロー方法を決めておきます。

eラーニングでの学習と現場での実践を切り離すのではなく、「学ぶ→理解を確認する→実践する→評価・フォローする」という一連の流れとして設計することが、教育効果を高めるポイントです。

このように、eラーニングなどの「仕組み」と、OJTや個別のフォローを担う「人」が、それぞれの特徴を活かして連携することで、「学ぶ→確認する→実践する→振り返る」という教育サイクルを効率的に回すことができます。

もちろん、教育テーマを動画コンテンツ化することは簡単ではありません。単に研修内容を動画に置き換えるだけでは、十分な教育効果が得られないこともあります。

例えば、PowerPointの画面を録画しただけの動画では、学習者が最後まで視聴できず、内容を十分に理解できない可能性があります。その結果、「対面で説明した方が早い」となり、教育担当者や現場の負担軽減につながらないケースも考えられます。

教育効果の高い動画コンテンツを制作するためには、学習目的に合わせて内容や構成を整理し、図やイラストなども活用しながら、学習者にとって理解しやすい教材にすることが重要です。また、自社での制作が難しい場合は、外部の専門家を活用することも一つの方法です。

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5.教育担当者に任せっきりにしない教育体制づくりを始めよう

社内教育で重要なのは、教育担当者が頑張り続けることではなく、誰が担当しても一定品質の教育を仕組みで実現し、継続することです。

eラーニングによる学習や理解度確認と、OJTや個別のフォローなど人が担う教育を適切に組み合わせ、さらに教材や動画コンテンツの制作まで含めて教育体制を整備することで、次のような効果が期待できます。

  • 教育内容を標準化できる
  • 教え方のばらつきを抑えられる
  • 教育担当者・現場担当者の負担を軽減できる
  • 理解度や受講状況を可視化でき、適切なフォローにつなげられる
  • 新入社員だけでなく、若手社員や中途社員、階層別教育などにも展開しやすい

eラーニングとOJTとを上手く組み合わせることで、教育効果を維持しながら、継続的で効率的な人材育成を実現できます。

まずは、自社の教育フローを見直し、「人が担うこと」と「仕組みに任せること」を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。

eラーニングを導入する際は、自社の教育体制や運用方法に合ったシステムを選ぶことも重要です。選定時に確認したいポイントについては、「企業向けeラーニングシステムの選び方のポイントと重視すべき機能」で詳しく解説しています。

とはいえ、「どこまでをeラーニングで仕組み化すべきか」「OJTとどのように役割分担すればよいのか」「教材や動画コンテンツをどのように整備すればよいのか」などを一つひとつ整理し、自社に合った教育体制を設計すること自体、教育担当者にとって一定の負担となります。限られた人数で教育を担当している場合は、すべてを自社だけで検討・整備しようとせず、必要に応じて外部の専門家を活用することも一つの方法です。

教育体制の見直しをご検討中の方は、教育設計からコンテンツ制作、eラーニングの運用まで支援しているITBeeへお気軽にご相談ください。自社に合った教育の仕組みづくりをご提案いたします。

また、eラーニングの導入・運用について詳しく知りたい方は「スグe」、研修動画やeラーニング教材などの制作をご検討中の方は「教育コンテンツ制作サービス」もあわせてご覧ください。


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